誰も見ていないだろうと思うので,ここに書いておきます.
ちなみに今年のも決勝戦で,徳山VS奈良の試合.
まず,試合前には徳山のトラブルで,30分程度の中断,徳山にとっては修理・調整時間がありました.
「徳山だけ調整時間があって,奈良に無いのは酷いじゃないか!」
という声もありましたが,奈良にもきちんと調整が必要かの意思確認はしています.
その上でのスタートゾーンに置いたままというものでした.
試合前に徳山がこのようなトラブルに見舞われたのもあって,実力で圧倒的上回る奈良の勝ちを予想していた人も多かったと思います.
しかし勝ったのは,徳山.
負けた奈良は自分たちのせいだというようなことを言っていました.
そうではあるんですが,実はそうでもないかなというところがあり,ずっと心に引っかかっています.
正直に言うと,奈良には試合前に徳山に関する情報を流していたのです.
ずっと待たされる奈良の心境を考えると,と言うとそうかもしれませんが,それがある種間違った情報であった可能性が高かったというのが問題でした.
奈良に渡った情報は,
「時間もないので徳山にはとりあえず出てもらいますが,ほとんど動きません,いつものようにやれば勝てますので」
次に情報が修正され,
「徳山は動くようですが,万全ではありません.いつも通りで大丈夫です」
といった感じのもの.
これを信じた奈良は,速さではなく,安定性を取る戦略に切り替えたそうです.
そして実際に試合が始まると,徳山はいとも普通に,奈良に追い付け追い越せといった感じで動いていました.
奈良はこれに関してどうこう言っていませんでしたが,「万全ではない」と伝えられたロボットが動いて,自分たちに迫ってきているのを目の当たりにして,選手たちはどう考えたでしょう?
それが原因とも言いませんが,試合中に相手の様子を見ることはできないでしょうし,結果,奈良は途中で失敗し,負けました.
決勝終了時点で,得点を表示するディスプレイは118:118の同点を示していました.
両校の選手は同点と思っていたでしょう.
しかし結果は徳山がわずかに上回る124点で優勝.
主審の私は,この結果を伝える必要がありました.
つまり,奈良の選手に敗戦を伝えるということです.
僕は結果を伝えた後の奈良の選手たちの落胆の反応を未だに忘れられません.
間違いなく今大会No.1のロボットを作ってきた奈良でしたから,自信もあったでしょう.
そして,ディスプレイに示された点数は同点,もう一回やれば勝てると思っていたかもしれません.
それだけに,ショックも大きかったでしょう.
この試合の奈良にとっての敗因の少なくとも数パーセント,もしくはコンマ数パーセントに運営側の影響が入っていたように思います.
僕は少なくとも,対戦相手の状況,強いては戦略の指示については控えるべきだと思っていました.
余分な情報を与えるより,緊張感を持って試合に挑めたでしょう.
それが悔やんでも悔やみきれません.
これが唯一ではありませんが,今大会では,運営側の影響で実力を出し切れないチームが他にもいくつかありました.これは後日時間があれば書こうと思います.
何のためのロボコンか,それは高専生のためというのは自明です.
では我々サポートする側は何をどうすべきかというのも明らかなはずです.
長くなりましたが,このことを忘れず,これからも関わって行くつもりです.
という将来の自分へのメッセージでした.